この地に生まれ、この地で暮らし、やがてこの地の土へと還る。
死と生のあいだにあるモノとそれをつなぐモノ。
いのちを巡るものがたりを追いかけた400日の記録。
「美しい自然に恵まれた奈良県明日香村。そこで生まれ、死んでいく人々と診療所の医師、看護師との交流を描く。病院死が当たり前になった現代社会に、自宅で家族に見守られながら死を迎えることの幸せを伝える秀作。」
柏木哲夫氏:ホスピス財団 理事長/淀川キリスト教病院 名誉ホスピス長
(2013年公開)
六回目の冬を迎えようとしているホスピス「希望館」。終末期を迎えたがん患者のための医療施設である。しかし、入院患者やその家族たちの表情はとても穏やかで、笑顔も見られる。与えられたその日一日を精一杯生きてもらうためのケアが、希望館のスタッフたちによって実現しているのだ。
ホスピス医の細井順さんは白衣を着ない。それはがんを患った自身の経験から、「患者も医者も同じ弱さを持った人間同士」であるという考えに至った結果だ。細井さんは目線を合わせて患者の「痛み」や「寂しさ」に寄り添う。
ある日、外来通院を続けていた一人の患者が入院する。その日から細井さんをはじめ病棟スタッフたちの、患者とその家族に「寄り添う」ケアが始まる。残された時間を大切に生きてもらうために・・・。
(2018年公開)
「いい仕舞い」。四万十には「いい仕舞い」という言葉があります。その日まで食事ができて、痛くなくて、みんなと話しが出来て、なじみの人の中で最期を迎えられる、これを「いい仕舞い」といいます。死は悲しい現実です。しかし「いい仕舞い」という言葉の中には、死は悲しみだけでなく旅立った人やそれを支えた人々の苦労をねぎらい感謝をする、という想いがあります。
「ひとのいのちも自然のなかのもの」
徐々に弱っていく患者さん。傍らには家族が寄り添います。今朝まであった呼吸は途切れ途切れになり、やがてなくなります。ひとつの生命の終焉です。しかし「いのち」は見守る家族に受け継がれその中で生き続けるのです。小笠原さんは、悠々と蛇行を繰り返しやがて海へと注ぐ四万十の流れに重ねて語ります。「そんなに嘆かなくてもいい、急がなくてもいい、一日は終わり、そして始まるのだから」と。
(2020年公開)
全国でもその人口規模に比して飛び抜けた高齢化率となっている周防大島町。平成27年の国税調査では人口17000人余りで高齢化率は51.9%となっている。(※2020年8月1日現在、人口約1万5500人、高齢化率約54%)
この島で無床の診療所と複合型コミュニティ介護施設を営む医師、岡原仁志さん(60歳)は診療所や施設のスタッフと医療・介護活動を通じて、豊かな老後を過ごすために医療や介護はどうあるべきかを問い続けています。
「高齢者が安心して暮らすことが出来る社会とは?」
映画では高齢化に伴う様々な問題を提起しつつも、安易に警鐘を鳴らすだけではなく、その解決のために日々活動している岡原さんたちの姿から、高齢者が安心して暮らしていける社会のためのヒントを得る事が出来る作りを目指します。